米国と中国という二大巨頭の間で、双方に配慮し「どちらにもいい顔」をしようとした結果、かえって窮地に陥っているメキシコ。
戦略コンサルタントの坂田幸樹氏が戦略のデザインで指摘するこの「どっちつかずの罠」は、国家の外交問題にとどまらない。
JTC(日本伝統企業)の中で、社内政治や人間関係に怯え、「誰からも嫌われたくない」と八方美人に立ち回っている40代・50代のミドルシニアと、全く同じ構図である。
人事次長として、数々の人員整理やリストラの現場に立ち会ってきた私から、耳の痛い真実を言おう。
「誰に対してもいい顔をし、波風を立てずに調整することだけが取り柄のおじさん」は、リストラ時に真っ先にクビを切られる。
「何でもやります」「そつのない調整が得意です」というゼネラリストは、裏を返せば「これといった強みがない、いつでも替えが効く人間」だ。
衝突を恐れ、自らのスタンスを明確にしない人間は、平時には便利に使われても、有事の際には真っ先に切り捨てられるのが企業の本音なのだ。
40代転職を成功させる「戦略のデザイン」。何をやるかではなく、何を捨てるか

戦略とは、一言で言えば「捨てること」である。
多くの40代・50代が転職やキャリアアップで失敗するのは、「自分の持っているスキルを全部アピールしようとする」からだ。
職務経歴書に、営業も、企画も、総務も、マネジメントもできます、と総花的に書き並べる。これは採用側から見れば「結局、何が一番強いのかわからないメキシコ状態」である。
私が52歳で転職し、年収1,250万円から1,800万円へと550万円の大幅な年収アップを勝ち取った際、私が取った戦略は徹底的な「選択と集中(捨てること)」だった。
私は、それまで経験してきた「人事の全領域」をアピールすることを捨てた。
「JTCにおける、組織の歪みを正す『評価制度の刷新』と『人事制度改革の実行』」
この1点だけに自らの武器を絞り込み、他は「できません、やりません」と言い切った。
自分のスタンスを明確にし、特定の強みに特化したからこそ、その課題をピンポイントで抱えていた企業に「この人しかいない」と突き刺さり、1,800万という高額オファーを勝ち取れたのだ。
八方美人を辞め、自分の「戦う土俵」をデザインすること。
これこそが、中高年が市場価値を劇的に跳ね上げる唯一の生存戦略である。
役職定年を回避し市場価値を跳ね上げる、3つのステップ

あなたが「どっちつかずの便利屋」を脱却し、特定の領域で企業から熱望される「唯一無二の存在」になるための具体的な解決策を提示する。
明日からすぐに行動に移してほしい。
自分の「やらないこと(捨てるスキル)」をリストアップする
まずは、これまでのキャリアを棚卸しし、「自分が今後、勝負しない領域」を明確にせよ。
「営業は若い世代に譲る」「一般的な事務作業は引き受けない」など、やらないことを決めることで、本当に磨くべき「尖った強み」が逆説的に浮かび上がってくる。
唯一無二の「尖った強み」の数値を可視化する
やらないことを決めたら、残した「自分の最大の武器」を、徹底的に数値化せよ。
「調整力があります」ではなく、「利害関係が対立する3つの部署の間に入り、コストを〇%削減する着地点を〇ヶ月で導き出す技術がある」というように、他社がカネを払ってでも買いたいと思う形に変換するのだ。
転職エージェントに「特化型人材」として登録し評価を得る
職務経歴書を「総花的なゼネラリスト」から「一領域のスペシャリスト」へと書き直し、複数の転職エージェントに登録せよ。
あえてスタンスを明確に尖らせたことで、市場からどのような反応(オファーの質や年収帯)があるかをテストするのだ。
行動を起こせば、そこで得られたフィードバックから次なる偶然のチャンス(計画的偶発性)が必ず生まれる。
おわりに:嫌われる勇気を持て。尖った者だけが生き残る

「誰からも嫌われたくない」という姿勢は、一見安全に見えて、実はキャリアにおいて最も危険な自殺行為だ。
全員にいい顔をする者は、誰の記憶にも残らず、誰からも必要とされない。
40代を過ぎたら、嫌われる勇気を持て。
自分のスタンスを明確にし、特定の領域で圧倒的なエッジ(刃)を研ぎ澄ませ。
その尖った刃こそが、役職定年やリストラという高い壁を切り裂き、あなたを年収1,800万のステージへと導く最強の武器になるのだ。
ぬるま湯の八方美人から今すぐ抜け出し、自らの戦略をデザインせよ。


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